当院で使用しているバックは、ソフトコヒーシヴシリコンという材質でできております。シリコンがちょうどグミのような状態になっており、万一破損した場合でも、内容物であるシリコンが漏出しにくい構造で、安全性の高い製品です。
形態は日本人の体形にあったアナトミカルタイプです。
バックの表面にはテクスチャード加工が施されており、ザラザラの表面に薄い被膜が覆う形になり、膜の表面積が拡大し、被膜線維の方向も一定の向きに揃わないため被膜拘縮の予防となります。
当院の豊胸術のアフターケアはバストバンドを着けるのみ、マッサージは全く不要です。
バックの最適なサイズを決める事はとても重要なことです。ご自身の体型に合ったサイズを選ぶために、我々は術中に試着感覚で患者さまに直接大きくなったバストを確認していただき、サイズを変化させながら、最適な大きさを選んでいただく方法で行っております。
この方法を用いることで、術後大きすぎる、あるいは小さすぎると後悔することはありません。はっきりとしない状態で選ぶのではと心配される方がおられますが、しっかりと受け答えができ、ご自身で自信もって選べる状態に回復するまでお待ちいたしますのでご安心ください。
バックの挿入層は、乳腺下法、大胸筋筋膜下法、大胸筋下法が代表的方法です。個々の体型に合わせて適切な挿入層をご提案させていただきます。
バックによる豊胸術において最大の問題として被膜拘縮があります。バックは生体にとって異物なので、体に入れると異物反応がおこり、バックを包むように周囲に被膜が形成されます。
この反応はすべての方に起きる反応です。この被膜自体は害のあるものではありませんが、時間経過により繊維が縮む性質があります。このことを被膜拘縮と呼びます。この程度が個人差として表れ、場合によっては硬くなってしまうことがあります。
この被膜拘縮を減らすために当院では、
●テクスチャード加工のバックを採用
●被膜拘縮を予防する内服薬を手術から3か月間服用
●高周波温熱療法(CET)を術後経過中施行し、高周波の作用で炎症を抑え、創傷治癒を促し被膜が厚く硬くなるのを予防する
などで万全のフォローを致します。
脇のしわに沿って3-4cmほど切開いたします。この後は指を用いて、優しくバックを入れるポケットを作成します。届く限りの範囲、すべて指でポケットを作成するため、出血は極わずかとなり、術後の痛みも最小限とすることが可能です。
ポケット作成後はサイズを決めるテストバックを入れ、この時点で眠りから起きていただきます。意識がはっきりとした後、座っていただき鏡でサイズを確認し、お好みのサイズのバックを選んでいただきます。その後は再び眠りにつき、テストバックを取り出し、本物のバックをお入れいたします。バックを入れる際にも、皮膚を摩擦から守る反転縫合を施し挿入します。
挿入後、抗生剤と止血剤を入れた生理食塩水で片側500 mlづつ洗浄をおこない、形成外科縫合で丁寧に縫合して手術を終了します。
腫れは、約2~3週間程で、引きます。腫れを早めるために、高周波温熱療法(CET)を行い腫れや内出血の消退を早める対策をします。
筋肉痛のような痛みが現れますので強力な鎮痛剤を処方されます。インプラントを大胸筋下に入れた場合、筋膜下に比べて痛みがやや強く出ますが、デスクワークなどの仕事は術後2~3日より復帰可能です。腕をよく使う仕事の方は1週間程度お休みがあると安心です。
なお、皮膚に余裕がない方、あるいは非常に大きなプロテーゼを選択した方は、皮膚がのばされるため突っ張る感じやテカリが生じることがあります。時間の経過とともに緩和する症状です。脇の下からプロテーゼを入れる場合、脇の可動域が制限されます。術後から伸展、回旋運動をおこないます。これにより徐々に元通りの可動域に戻ります。
その他に、施術箇所のしびれや知覚低下脇の創の赤み等の症状は2~3ヶ月程で緩和されます。時間の経過とともに改善される症状です。